かつて音楽鑑賞の王道だったLPレコードは直径30㎝ありました。1980年代初めに「未来のレコード」として登場したコンパクトディスク(CD)は、操作性・保存性・耐久性などの諸点からまたたく間にLPにとってかわりました。

CDがLPにとってかわった理由としてはいろいろありますが、「大きさが小さくなったので持ち運びしやすくなり、保管するにも場所を取らなくなった」ということも上げられると思います。

かつてLPというメディアが存在したことも知らない人々が増え、またCDというメディアにも黄昏が迫っているように思われる昨今です。LPとCDの原理の違いや記録&再生方式の違いを知っておくこともよいでしょう。

 

LPとCDの大きさの違いは、「記録と再生に使う針(レコード)とレーザー光線(CD)の大きさと精度の違い」によります。
まず、CDとLPの記録&再生の方式をご紹介します。

<CDの記録&再生の方式>
①演奏される音楽が録音機を通る時、1秒を42100に分割される。
②その42100分の1秒分の音を・(ドット)と-(バー)の組み合わせで記録する。これがCDの基礎になっているデジタル録音の技術。コンピュータの記録法や計算法と同じ2進法(0と1ですべてを記録・演算する)です。
③無限の・(ドット)と-(バー)の組み合わせで記録された音の信号を、CDの記録面に極小サイズで記録する。
④CDに記録された極小サイズの・(ドット)と-(バー)にレーザー光線を照射して記録を読み取る。
⑤記録を読み取った時の、ドットとバーの反射率の違いによって生じるレーザー光線の揺らめきを、電気の信号に変え、それを音の信号に変換する。
⑥音の信号に変換されたものを「音楽」として鑑賞する。

<LPの記録&再生の方式>
①演奏される音楽が録音機を通ることによって、電気量の強弱に変換される。
②その電気量の強弱が磁力の強弱に変換され、テープに記録される。これがいわゆるアナログ録音(死語)の原理。
③テープに記録された磁気信号を、再生機の再生ヘッドが磁気信号の強弱として読み取り、それを再生機が電気信号の強弱に変換する。
④電気信号の強弱に変換された音楽信号が録音針に通され、物理的な「振動」に変換される。
⑤その物理的な「振動」が、レコード盤に「溝」として記録される。
⑥レコード盤に記録された「溝」にレコード針が落とされ、溝の振動が針に伝えられる。針はその揺らぎを電気信号の強弱として再生機に送り、再生機は電気信号の強弱を増幅してスピーカーに送り、スピーカーは電気信号の強弱を物理的な振動として音楽信号に変換し、私たちがそれを鑑賞する。

で、CDが小さくなった理由ですが、
CDの記録の読み取りにはレーザー光線を使っています。レーザー光線は人口の光線ですが、自然界にある光線と違って収束させることが可能という特性を持っています。ですから極めて小さく細い光線にすることも可能です。こうしたレーザー光線の特質を生かして記録&再生させるのがCDです。
一方のレコードですが、記録と再生には針を用います。針の記録&再生部分も相当に小さいです。レコードの溝を、左右の手首を向かい合わせで重ねて手のひらを上に向けた大きさ(つまり子どもが手遊びでよくやる「お花」の手の形)だとすると、髪の毛は直径1mに当たるそうです。このたとえでもお分かりのように、記録&再生の針も相当に小さいのですが、収束されたレーザー光線の極々細さにはとてもかないません
つまり一言で言えば、記録&再生に用いる針(レコード)とレーザー光線(CD)の大きさの違いが、そのままレコードとCDの大きさの違いになっているというわけです。

「それなら、レコードの記録と再生にもレーザー光線を使えばいいじゃないか」と思われるかもしれません。実際にレコードに変わる新技術開発の時に、レーザー光線で再生するレコードが提唱されたことがありました。でも、それはやがて消えていきました。詳しい理由は分からないのですが、たぶん理由は次のようなものではないかと思います。
①レーザー光線はどんなに出力を弱くしても熱を出してしまうので、記録メディアに熱による損傷を与えてしまう。
②損傷を与えない素材でレコードを作れば費用が高くついてしまう。つまり市販の値段も高くなる。
③レーザー光線は人体にも被害を与えるので(レーザー光線は殺傷兵器にも使われていますよね)、むき出しで使用するレコードプレーヤの場合は、危険を伴う。
これらが、レーザー光線で再生するレコードが実現されなかった理由ではないかと思います。